先日、元同僚で、10年以上の付き合いになる友人と数年ぶりに再会した。
普段は在宅で仕事をしているので、外に出て人と会うこと自体がめずらしい。
友人というか、同じ修羅場をくぐってきた戦友。親友と呼ぶのはちょっと照れくさいけれど、気兼ねなく話せる数少ない相手の一人である。
数年ぶりに会ったはずなのに、不思議なほどブランクを感じなかった。久しぶりというより、実家に帰ってきたような安心感。話すテンポも、笑うポイントも、昔のままだった。
近況を話したり、昔話をしたりしているうちに、あることに気づいた。
...エピソードトークのネタがなくなっている。
最近の話題といえば、散歩と美容。散歩でどこに行ったとか、あの化粧品がよかったとか。
老夫婦のそれである。まだ縁側にも座っていないのに。
以前なら、仕事で起きた事件や、新しく始めたことなど、もう少し話せるネタがあった気がする。それが今や、散歩の行き先と肌の調子で一日が完結している。
穏やかで悪くはない。むしろ平和でありがたい。
ただ、AIの話になった途端、急に話が止まらなくなった。
あのツールを試した、この環境は合わなかった、結局こちらへ戻ってきた。そんな話が次々と出てくる。
どうやらエピソードトークは、なくなったのではない。AIと開発環境の中に偏って蓄積されていたらしい。
振り返ってみると、この数年で変わったのは、使うAIだけではなかった。
IDE、ターミナル、音声入力、ローカルAI、メモ環境。新しいものを試しては残したり、やめたり、元に戻したりしながら、作業環境そのものが少しずつ入れ替わっている。
せっかくなので、2024年から今までの流れを、順に並べてみる。
2024年〜2025年:Cursor、Google Antigravity、Obsidian
普段はVS Codeを使いながら、AI搭載IDEのCursorやGoogle Antigravityも併用していた。
コード補完や修正、プロジェクト全体を見たうえでの提案。従来のエディタとは違う書き心地を、ひととおり試していた時期だった。
同じ頃、日々の出来事や作業内容をメモするためにObsidianを使い始めた。
Markdown形式でそのまま保存できるのでAIとの相性がよく、メモ同士のつながりをグラフで見られるのも便利だった。
そのうち、日々のメモだけでなく、健康診断の結果、毎日の体重、おおよその摂取カロリー、血圧まで記録するようになった。この文章も、そうして残してきたメモをもとに書いている。
2026年1月頃:Claude Codeを使い始める
Claude CodeのWindowsネイティブ版がようやく実用圏に入ってきたので、触り始めた。
それまではAI搭載IDEが中心だったけど、ターミナルからまとまった作業を任せるという、別のやり方を試すようになった。
2月頃:Warpと音声入力を導入
Warpを導入して、複数案件のタスクを並行してAIに進めさせる運用を始めた。
一方で、AIへの長い指示を毎回キーボードで打つのが、だんだん面倒になってきた。
音声入力アプリを探して、Aqua VoiceとTypelessを比べた結果、Typelessを選んだ。長い指示やアイデアを文章にする負担は、これでかなり減った。
3月頃:CodexがWindowsへ本格対応
CodexがWindowsネイティブ環境に本格対応した。
PowerShellも、もともと使っていたWindowsの開発環境も、そのまま使える。WSLを挟まずに既存プロジェクトを触れるのは大きかった。
まずは無料版で1か月ほど試してみた。ただ、この頃はまだClaude Codeが中心で、Codexは補助的な位置づけだった。
4月頃:CLI中心の運用から離れる
VS CodeのClaude拡張機能とClaude Desktopを本格的に使い始めたら、Claude CodeのCLIを起動する機会が一気に減った。
CLIを中心に使っていた期間は、結果的に3か月ほどだった。今はたまに /plan を使うくらい。
そうなるとWarpを使い続ける理由もあまりなくなり、アンインストールしてPowerShellへ戻った。
5月頃:OllamaとローカルAIに挑戦
Ollamaで、さまざまなAIモデルをローカル環境で動かすことに挑戦した。
Windowsネイティブ版とWSL2上の両方で試してみたものの、自分のCPU・GPU構成、特にAMD環境との相性がよくなかった。
動作自体はする。ただ、返答が返ってくるまでにかなり待つ。普段使いできるほどの速度は出ず、ローカルAI環境として運用を続けるのは難しかった。モデルデータでストレージがどんどん減っていくのも気になった。
これをきっかけに、CodexとClaude Codeの開発環境もLinux側へ一本化しようかと考えた。
けれど、既存プロジェクトで使っているGitやSSHの環境を再構築する必要があり、Windowsネイティブでしか動かない某会社の開発環境もある。結局、完全な移行は断念した。
無理にLinuxへ統一せず、Windowsネイティブ環境を軸に運用することにした。
6月以降〜7月末:CodexとClaude Codeの二刀流へ
Claude Fable 5が一般公開されたと思ったら利用停止になり、その後復活し、さらに提供期間が延長される。状況が目まぐるしく変わった。
その間に、CodexとClaude Codeを用途によって使い分ける運用が定着した。Claude Code側はCLIではなく、VS Codeの拡張機能とDesktopが中心になっている。
中国圏のKimi K3も選択肢として検討したけど、セキュリティ面に不安が残ったので見送っている。
今の使い分け
コードをゼロから書かせること、Three.jsのようなビジュアル表現を伴う実装。このあたりは、現時点ではClaude Codeに軍配が上がる。0から1を作る力、曖昧な構想から具体的な実装を組み立てる力が強い。
一方のCodexは、コーディングだけでなく、次のような作業を一つの環境で扱いやすい。
- 音声入力
- 画像生成
- 日常的な調べもの
- ドキュメント作成
既存サイトのリファクタリングやコードの評価も、問題点と改善案を整理して提示してくれるので、内容を理解しやすい。
ゼロから新しいものを作り、複雑な実装を進めるのがClaude Code。既存のものを評価・整理・改善して、周辺作業までまとめて進めるのがCodex。
自分の中では、Claude Codeは「作ること」が得意で、Codexは「整えて広げること」が得意、という感覚に近い。
どちらか一方に完全に移行するのではなく、それぞれの得意分野で使い分ける。今のところ、これが一番効率のいい運用になっている。
